1.
薬の嫌いな子は、食後にのませることになっている薬でも、ミルクの前や、食事の前にのませてもかまいません。お腹がいっぱいになっている時は、のむのを嫌がったり、無理にのませることで、食べたものを吐くことがあるからです。
2.
食事をとらない子でも、3度の食事時間を目安に薬を飲ませてください。
3.
乳児の場合、ミルクの直前や直後にのませると、ミルクを一緒に吐いてしまうことがあるので、ミルクの前後30分位は間隔をおいてください。
4.
他の子供の薬(座薬も含む)は使用しないでください。(年齢や、体重、症状により、それぞれの薬の内容や量が異なります)
5.
薬をのんでから30分以内に吐き、吐いたものにのんだ薬が混じっているときは、吐き気がなくなってから、もう一度飲ませてください。
6.
熱が高いときは、吐きやすいので、できれば座薬で熱をさげてから、薬を与えてください。
7.
薬は湿気、光、熱などによって変質したり、効果が弱くなったりすることがありますので、直射日光を避け、涼しく乾燥しているところに、保管しましょう。
1.
ごく少量の水でねってドロドロにして上あごや頬の内側につけてあげましょう。その後、水やミルク、ジュースなどでのみ込ませましょう。
2.
適量のジュースなどに混ぜて(完全に溶かす必要はありません)のませてみてください。ただし、ミルクに混ぜるとミルク嫌いになることがあるのでミルクには混ぜない方が良いでしょう。
3.
乳児の場合はジュースなどに混ぜた薬を、スプーンに取り、奥歯のあたりに流し込んでください。直接ノドに流し込むと、むせるので注意してください。小さな哺乳ビンに入れてのませるのも良いでしょう。
4.
ヨーグルトやプリンが好きであれば、薬をそれらに混ぜて飲ませてみましょう。(特に水に溶けにくい薬の時は、このようにすると飲めることがあります)
5.
苦い薬の時は少量の砂糖を混ぜてのましてみても良いでしょう。
6.
粉薬がシロップと一緒に出ている時、特に注意がない時は、与える前にシロップに混ぜてのませてもかまいません。
2.
一般的に、1週間以上過ぎた水薬は変質することがあるので、のませない方が良いでしょう。
3.
水薬は細菌やカビなどの汚染を受けやすいので、何もことわりがなければ、必ず冷蔵庫に保管してください。(冷凍はしないでください)
4.
のませる時は、ビンを良く振ってから1回分づつスプーンあるいは薬盃、哺乳ビンなどにとってのませてください。
5.
甘すぎて飲まないこともあります。甘すぎるときは水で薄めてのませても良いでしょう。
1.
座薬には、解熱薬、制吐薬、痙攣止め、便秘用、咳止めなどがあります。
2.
座薬の効果が出始めるのは、挿入後30分位からです。
3.
胃に負担をかけないという利点がありますが、下痢をしている子供では、座薬を入れても直ぐ排泄されてしまうという不利な点もあります。
4.
室温では解けやすいので、冷蔵庫に保管してください。
5.
1/2または2/3しか使用しないときは、ナイフかハサミで、切って使用してください。
6.
座薬は、水、食用油などで、すべりを良くして挿入しましょう。
7.
座薬は、丸みをもって、とがっている方から肛門に入れ、5秒位の間、指で肛門を押さえ、座薬が出てくるのを防ぎましょう。
1.
38.5度以上あれば、使用してあげましょう。高熱が続くと、食物や水分も取れなくなってしまいます。
2.
38.0度位でも元気がなかったら使用してあげましょう。元気であれば、様子をみていて良いでしょう。ただし、長時間続いている時は、一度使用し熱を下げてあげましょう。一度使用しても熱が下がらない場合や、一度下がった熱が再度上昇した場合は、6時間位(最短4時間位)の間隔をあけてから、もう一度使用しましょう。普通は、多くとも1日4回位の使用ですみます。
3.
熱性痙攣の心配のある児は早めに使用しましょう。
4.
「ふるえ」のある間は、保温につとめ、「ふるえ」がなくなったら使用しましょう。
1.
座薬が、溶けずに出てきた場合は、もう一度、使用しましょう。
2.
溶けた座薬が出てきたら、いくらかは吸収されている可能性があるので、2時間程度経過をみて、熱が下がる傾向がなければ、再度使用しましょう。
1.
解熱薬を使用しても、熱はすぐには下がりません。解熱薬の効果は1〜2時間経過して判断しましょう。
2.
平熱まで下げる必要はありません。熱が少し下がり、ちょっと元気が出て水分を取れるくらいになれば十分です。平熱まで下がらなくとも38度以下であれば、薬の効果がでていますので、このまま様子を見ましょう。
3.
病気によっては、熱がほとんど下がらない場合もありますが、多くは年齢や体重に適切な量の薬が使用されていない場合です。医師に相談しましょう。
★
座薬は、冷蔵庫の中で約6ヶ月保存ができます。
★
解熱薬の量は、年齢、体重で大きく異なりますので、他の児へ使用する場合は、必ず医師に相談しましょう。
★
インフルエンザの時の発熱には、ボルタレン、ポンタールなどの解熱薬は小児においては、使用しないでください。
1. 37.5℃を越す発熱時に速やかに坐剤を投与する。
2. 初回投与後8時間経過後もなお38℃以上の発熱が持続する時は、追加投与してもよい。
* 通常、2 回投与で終了とする。
* 状況により、3 回目を投与してもよいが、3
回目は初回投与から24 時間経過後とする。
* 予防投与の必要性は、主治医と相談の上きめる。
1. 解熱剤の併用:ダイアップ坐剤と解熱剤の坐剤を併用する場合にはジアゼパム坐剤を投与後、30 分以上間隔をあける。経口投与をする解熱剤は同時に使用してもよい。
2. ねむけ、ふらつき、まれに興奮などがみられるので、完全に目が覚めるまで、事故に注意する。
1. ダイアップ坐剤には、4mg、6mg、10mg/本の3種類があります。
一般的な使用量は0.4〜0.5mg/kg/回です。
2. 坐剤がない場合はジアゼパム経口剤(製品:セルシン、ホリゾン;散、錠、シロップ)でもよい。
投与量は同量で、薬物動態は坐剤とほぼ同じである。
水分は十分とれているのに、ご飯が食べられないから点滴をしてほしいと頼まれることがあります。このような方の大部分は点滴に対して、過大な期待をよせていることが多いようです。
通常外来で行われる小児の1本200mlの点滴に含まれるカロリーは20キロカロリー程度(アメ2個または卵1/4程度)にすぎませんので、点滴はご飯の代わりにはなりません。点滴の中身はイオン飲料に近いものですので、吐いて下痢をしているような場合で、イオン飲料も飲めないような場合には非常に有効な治療手段となります。
それでも点滴を受けたら元気になったと言う人がいますが、大人の場合には心理的効果が大きいと言えます。不必要な点滴は、乳幼児・小児の場合、心理的効果は期待できなく、逆に患児に負担を与えるだけになります。
<外来点滴が必要なのは、どのような場合か?>
点滴で補給できるのは、水分と電解質で、栄養は補給できません。一般の外来で点滴が必要になるのは、次のような場合です。
1. 脱水(水不足)が原因で点滴が必要になることが一番多い。
@ 脱水が著明な時
A 水分が取れる見込みが今後ない時
B 水分は取れるが、下痢がひどく脱水になる危険が今後ある時
など
数時間で補給できる水分量は、限られています。脱水が著明なときは入院となる場合もあるので、水分を十分とるようにしましょう。
2. 喘息発作で呼吸困難が強く、急いで治療する必要がある時に、ネオフィリン(喘息の時に、使用するテオドールなど同じ成分です)を点滴で投与することがあります。しかし、一般的に呼吸困難が軽く、薬を飲むことができる時は、点滴の必要はありません。
3. 著明な蕁麻疹が急激に出現し、急いで蕁麻疹を改善するために薬を入れ点滴をすることがあります。
「のどが赤い」のは、咽頭炎もしくは扁桃腺炎がある場合だけです。典型的なのは、溶連菌感染症、アデノウイルス感染症、EBウイルス感染症、ヘルパンギーナなどです。多くのウイルス性の風邪では、のどがあまり赤くないのがむしろ普通です。さらに、気管支炎、肺炎、仮性クループなどは、のどの奥の炎症であり、口をあけても見ることができません。
ですから、のどが非常に赤ければ、熱が出る可能性が高いですが、赤くない場合でも熱が出ることが、いくらでもあるわけです。
熱あるので、抗生物質を欲しいと希望する親がいます。また最近、日本の医者は不必要に抗生物質を投与しすぎ、耐性菌(抗生物質が効かない細菌)が増えているという報道も見かけます。
感染症は大きく分けて、細菌による場合とウイルスによる場合があります。抗生物質は、細菌には効きますが、(但し、抗生物質を使用していても耐性菌の時は無効です)ウイルスによる感染症には抗生物質は無効です。例えば、高い熱が長期間続くウイルス感染症である咽頭結膜熱(アデノウイルス)、突発性発疹(ヒトヘルペスウイルス6, 7)、ヘルパンギーナ(コクサッキーウイルス)では、抗生物質は効きません。一般的にウイルス感染(水痘、ヘルペス性歯肉口内炎、インフルエンザ以外)は、自力で回復するのを待たなければなりません。
風邪:年齢により異なりますが、一般的な風邪の大部分はウイルスが原因です。ですから、それらのウイルス性の風邪には抗生物質は効きません。細菌性の風邪の原因には肺炎球菌、インフルエンザ菌などの細菌がありますが、これらの細菌の耐性菌が増加しており、抗生物質を使用していても効かないことがあります。
下痢:乳幼児の下痢の多くはウイルスによることが多く、抗生物質投与はむしろ下痢を増悪させる要因になります。
黄色い鼻水は、細菌感染というのは間違いです。粘調の黄色い鼻水は細菌感染を示すものではなく、鼻の粘膜上皮や白血球の死骸ですので、粘調の黄色い鼻水があるからといって、細菌が原因の副鼻腔炎であるとは言えません。(副鼻腔炎、蓄膿のパンフレットをご参照ください)
ウイルスによる鼻炎、鼻かぜでも、数日間は鼻水ですが、治っていく過程で次第に黄色〜黄緑色の粘っこい鼻汁となります。
ウイルスによる鼻炎、鼻かぜの1/4の子供は、2週間以上症状が続きます。この場合、抗生物質を使用しなくても自然に治癒します。
<抗生物質が必要なのは、どのような場合か?>
抗生物質を使用すべきか?すべきでないか?を小児科医はいつも悩んでおります。血液検査をおこなえば、ある程度判断できますが、全ての患児に血液検査はできないため、小児科医は患児の年齢、症状の重症度、症状の持続期間、などで抗生物質の投与を決定します。健康な子供が風邪をひいた場合、症状が軽症であれば、仮に細菌が原因の風邪であっても抗生物質を飲まなくても自力で回復してきますし、むしろその方が、免疫が十分つくと考えられます。
疾患 潜伏期(日) 感染性期間
麻疹 10−12 感染<5日目〜発疹出現後<4日
同居の兄弟は診断時4日目とする
水痘 14−21 発疹出現1日前〜出現後5日(痂皮形成まで)
免疫不全で重症化
風疹 14−21 発疹出現前7日前〜出現後5日
<20%以上不顕性感染、妊婦注意
ムンプス 14−21 発症7日前〜発症後9日
<30-40%不顕性感染(2歳未満は特に多い)
伝染性紅斑 17−25 感染後<7〜<14日
インフルエンザ 1.5−2 潜伏期〜発症後5日
ヘルパンギーナ 2−4 感染後3〜7日
手足口病 5−6 咽頭:発病後1〜2週、 便:発病後3〜5週
咽頭結膜熱 5−7 一定せず(便は長期)
RSウイルス 3−5 発病後1〜2週
ロタウイルス 1−3 下痢改善後2〜5日
マイコプラズマ 14−21 一定せず
溶連菌 2−5 無治療では一定せず。治療開始後1-2日
健康保菌者が多い
百日咳 7−14 カタル期〜治療開始後5日(無治療では3週間)