1.
いつから、どのくらいの熱が、一日何回くらい出ていますか?
2.
熱の他に何か症状がありますか?(咳、鼻水、嘔吐、下痢、発疹、呼吸困難など)
熱があるときは、ぐったりしていても、熱が下がると元気になる場合は、多くの場合、あまり重い病気でないことが多いです。
1.
熱を出す病気は色々あります。その中には、心配しなければならない熱、あまり心配しなくてもよい熱があります。
2.
熱の他に症状がない時は、尿路感染症、中耳炎、髄膜炎なども考慮しなければならない場合があります。特に、乳幼児などでは注意が必要です。
3.
単に、高熱が出たからといっても、熱の原因が頭にない限り(髄膜炎、脳炎など)、脳に後遺症を残すことはありませんので心配いりません。
1.
熱の上がり始め(特に高熱が急激に出る前)は、血液の循環が悪くなり、顔色が悪く、手足が冷たく、また全身の「ふるえ」(悪寒)がみられることがあります。(意識があることで、痙攣と区別ができます。)熱が上がりきると、この「ふるえ」はなくなります。それまでは、毛布、湯たんぽなどで、保温してあげましょう。「ふるえ」がおさまり、手足が温かくなり、発汗が起こってきます。この時は、保温を止め、薄着にし、冷やしてあげましょう。
★
手足が、冷たいか?温かいか?が、ポイントです。
2.
氷まくらで頭や首の後ろ、わきの下や股の付け根を冷すのも効果的です。汗をかくと熱はいったんさがりますが、汗をかかそうとして熱が出ているのにやたらと毛布でくるんだり、室温を高くするとかえって熱を上げてしまう事になりかねません。熱が出きった後は、熱が発散しやすいように薄着にしてあげてください。
3.
発熱が何日も続く場合、次第に水不足(脱水)となります。そのため、食事(栄養)よりも水分を十分に摂るように気をつけましょう。
4.
多くの発熱は、24時間続けて熱がない場合は、解熱したと判断できます。入浴や通学は、24時間続けて発熱がみられなくなってからにしましょう。
★ 健康な時から、解熱剤、水枕、体温計は家庭に常備しておきましょう。
1.
いつ頃から咳がでていますか?
2.
一日の中で、いつ頃に咳が多いですか?
3.
喘息様気管支炎、気管支喘息、「気管が弱い」などと、医者から言われたことがありますか?
4.
痰がからんだような咳ですか? 犬が吠えるような咳ですか?
5.
咳とともに、嘔吐をすることがありますか?
6.
夜間も寝られないような咳ですか?
7.
息をする度に、ゼーゼー、ヒューヒュー聞こえますか?
8.
咳の出てない時は、元気ですか?
9.
呼吸は苦しそう(呼吸困難)ですか?
10. 咳の他に症状はありますか?(発熱、鼻水、咽頭痛、かすれた泣き声など)
1.
呼吸困難が見られる場合。
2.
4日以上の発熱が続く時は、肺炎などの心配もでてきます。
3.
頻回に嘔吐がある場合は、脱水の心配もでてきます。
4.
症状は咳だけであっても、1週間以上、咳が良くならないで続く場合。
★
咳が長期間続く場合は、何度も繰り返し別の風邪をひいていることが多いのですが、百日咳、喘息様気管支炎、気管支喘息、チックなどの可能性もあります。
1.
室内の空気が乾燥しないように、工夫しましょう。
2.
特に、嘔吐を伴う場合は脱水にならないように、水分を少量づつ頻回に与えましょう。
3.
入眠して、30分−1時間後位の眠りかけに出る咳の場合は、顔を横に向けたり、うつ伏せに寝かせてあげると咳が軽減することがあります。
4.
から咳の場合は、何か甘いもので、「のど」をうるおしてあげると、軽減することがあります。
5.
入浴は、十分水分も取れており、発熱もなければ、加湿する意味でも良いでしょう。
呼吸が苦しいと訴えることのできない乳幼児では、普段から呼吸の仕方を観察しておくことが重要です。
★
咳をしている最中は皆が苦しいものですので、咳の合間の呼吸をしている時に、呼吸が苦しそうか否かを判断してください。
1.
呼吸の数がいつもより多い。
★
熱があると呼吸数は増加します。呼吸数は熱のない時に、数えてください。
★
呼吸数: 新生児 40回/分、乳幼児 30回/分、学童 20回/分、成人 15回/分
2.
小鼻が息を吸う度に開く。
3.
息を吸う時に、鎖骨の上、肋骨の間、肋骨の下などが、へこむ。
4.
寝ていられず、起き上がる。
5.
唇や爪の色が悪い。
★乳児では、呼吸困難になると、ミルクの飲みが悪くなったり、やっと飲んでも嘔吐をしてしまうことがよくあります。いつものように力強くミルクを飲めるうちは、強い呼吸困難はないでしょう。
2歳位まで:喘息様気管支炎、
細気管支炎、
仮性クループ(声がかすれ、犬が吠えるような咳が特徴です。)
1歳半位から:気管支喘息
重症の肺炎
1.
いつから、一日何回くらい下痢をしていますか?
2.
便の色、軟らかさ(軟便、水様便)はどうですか?便に血は混ざっていませんか?
3.
吐き気や、嘔吐はありませんか?
4.
熱はありませんか?
5.
腹痛はありませんか?
6.
お腹は、いつもと比べ、平坦ですか?それとも、膨らんでいますか?
7.
水分は十分にとれていますか?
8.
いつもと比べ、元気はありますか?
9.
尿の出方は減っていませんか?
★
下痢の原因の大部分はウイルスが原因で、稀に細菌が原因の場合があります。
★
ウイルス性の下痢は、抗生物質は不要で、脱水にならない限り5〜7日位で自然に治ります。
★
ウイルス性の下痢で一番重症なのは、ロタウイルスによるものですが、脱水にならない限り、他のウイルスによる下痢と治療法は変わりません。一般状態が良ければ、白い便が出ただけで、心配する必要はありません。
★
細菌性の下痢は、抗生物質による治療を必要とする場合があります。
★
脱水がある場合と、細菌性の下痢を疑われる場合は、必ず受診しましょう。
1.
細菌性の下痢を疑う必要がある場合:4日以上の発熱が続く時、血便がみられる時など
2.
脱水を疑う場合:下痢と一緒に嘔吐が始まった時、嘔吐はないが、水分を取らなくなった時、機嫌が悪く、遊ばなくなった時、など
3.
腹部が膨らんできたり、腹痛が次第に強くなってきた場合
1.
下痢により、水分が失われます(脱水)ので、水分はいつも以上に十分与えましょう。
2.
最初は吐き気、嘔吐があるあることが多いので、刺激の少ない、OS-1(大塚製薬KK)、乳児用イオン飲料、スポーツ・ドリンクなどで、水、電解質の補充を行いましょう。次に、母乳、ミルク(うすめる必要はありません)、牛乳などを十分に補充しましょう。
吐き気、嘔吐がなければ、早期に食事を開始してかまいません。始めは、お米、パン、小麦粉、イモ、シリアル、ヨーグルト、脂なし肉、細かく切った野菜などから開始し、便の様子を見ながら、少しずつ消化のよい食べ物を与えましょう。
★早期に、食事を開始すると、下痢が早く直ることが知られてきています。
★食べ物を与え、吐き気、嘔吐がでた時、腹痛が強く出た時、お腹が張ってきた時は、無理せず水分を取ることに心がけましょう。
★食べ物が、消化されないで、そのまま便に出てきた時は、もっと消化の良いものを与えましょう。
3.
下痢便が出る時のみに腹痛を訴える場合がありますが、この場合は心配ないことが多く、お腹をさすってあげましょう。
4.
お尻は、その都度清潔にし、赤くなってくるようなら、ドライヤーなどで乾燥させましょう。
5.
下痢が24時間以上なかったり、お腹が張ってきた場合は下痢止めの薬は中止しましょう。
1.
いつから何回くらいもどしましたか?
2.
どのような色のものをもどしましたか?
3.
何か、変わったものを食べませんでしたか?
4.
嘔吐の他に症状(下痢、腹痛、発熱、咳、頭痛など)はありませんか?
1.
吐いた後に、すぐ食べ物・飲み物を欲しがりますが、水で口をゆすぐ程度にし、1-2時間くらいは何も与えず、身体を横にして休ませた後に、水分から与えましょう。
2.
水分は少し(数口)を与え30分程度様子をみて、嘔吐がなければ、少量の水の回数を増やし、その後、徐々に1回に与える量を増やしましょう。
最初の1回量は少なめに:乳幼児:10-30ml, 小学生:30-70ml, 中学生以上:50-100ml
3.
2-3回水分をとっても吐かなくなってから、消化の良いものを与えましょう。
4.
食事を取れなくとも、水分を十分とれれば心配はありません。
5.
食欲がない時は、無理に食べさせる必要はありません。食欲があっても、むしろひかえめにしましょう。
6.
再びもどしたら、与えるのを中止し、再度休ませるところからやりなおしましょう。
7.
熱のある場合は、熱を下げてから水分を与えましょう。
8.
下痢が始まる前に、もどすことがありますので、便にも注意しましょう。
★
一回吐いても、そのあと元気なら、そのまま様子を見て良いことが多い。
★
吐く回数が多く、吐いたものに胆汁(緑色〜黄色)や血液(赤色〜コーヒー色)が混ざっている場合や脱水症状が出てきた場合は、早めに病院へつれて行きましょう。点滴、入院が必要な場合があります。
自家中毒:何も原因が無く(解らなく)嘔吐を繰り返す病気です。嘔吐を繰り返すため、吐物に血液が混ざったり、コーヒー残渣様になります。脱水が著名になり、尿の検査でケトン体が検出されます。
下痢に伴って嘔吐がみられ、同じような状態になることがありますが、これは自家中毒とは言わず、嘔吐による脱水と言います。
1.
健康時には、水分の摂取と排泄が等しくバランスがとれています。しかし、摂取量が排泄量より少なくなると、身体の水分が不足し、脱水を起こします。
2.
入院患者の大部分は脱水を伴っていますし、脱水さえなければ入院の必要の無いことが多くあります。つまり、脱水は子供にとって最大の敵です。
3.
脱水が重症になると、点滴注射により水分を補う必要がでてきます。
4.
子供が病気になった時には、短期間であれば栄養のことを考えるよりは、水分摂取を一番に考え、脱水にならないように、十分に水分をとらせることが重要です。
1.
嘔吐:くり返す時は、急激に脱水になります。
★
特に、下痢を伴う時は、注意が必要です。
2.
下痢:便からの水分の排泄が多くなり、脱水になります。
★
嘔吐がなく、水分が十分取れている場合は、急激な脱水は起こりませんが、徐々に脱水となります。
3.
発熱:長期間発熱が続くと、水分摂取が少なくなり、汗からの水分排泄も増加し、脱水を増す要因になります。
4.
呼吸困難:気管支喘息や、喘息様気管支炎では、呼吸が苦しく十分な水分摂取ができなくなり、呼吸数も増え気道からの水分排泄も増加し、咳に伴って嘔吐するなど、脱水になりやすくなります。脱水が、更に気管支喘息などを悪くします。
1.
症状を見つけることは難しいと思われますが、脱水になるとぐったりして、横になることが多くなり、遊ばなくなります。
2.
軽い脱水のうちは、水分を欲しがりますが、脱水が重症になると、水分も欲しがらなくなります。
3.
尿の回数、量が減ります。
4.
唾液が少なくなり、よだれの出方が少なくなり、口の中が乾いてきます。
5.
重症になると、熱が出たり、痙攣を起こしたりもします。
1.
いつ頃から痛みが始まりましたか?
2.
どの程度の痛みが、どのように続いていますか?
A
次第に痛くなっている。
B
良くなったり、悪くなったりくり返している。
3.
腹痛の他に症状(発熱、下痢、嘔吐、咳など)はありませんか?
4.
最後に便がでたのは、いつですか?
腹痛を訴えることのできない赤ちゃんは、不機嫌になったり、哺乳力が減ったり、泣いたりして表現します。
2−3歳ころになると、腹痛を表現できるようになりますが、逆に、どこが痛くとも、お腹が痛いと訴えることがあります。
1.
腹痛が次第に強くなり、発熱、嘔吐を伴う時
2.
嘔吐があり、多量の血便が出た時
3.
下痢、嘔吐などを伴い、脱水症状が出てきた時
色々の原因により腹痛を起こします。
例えば、便秘の場合も腹痛をおこします。この様な時には、便を出してあげる事が一番の治療となります。
―お腹をさすってあげて、様子をみても良い腹痛―
1.
発熱に伴う腹痛:風邪などで熱が出た時に腹痛を伴うことがあります。熱が下がると腹痛も消失します。
2.
下痢・嘔吐に伴う腹痛:下痢便が出る前や、嘔吐の前に腹痛を伴うことがよくあります。下痢、嘔吐の後は、腹痛は少し和らぎますが、下痢が完全に治まるまでは、ある程度の腹痛は仕方がありません。腹痛に対する治療でなく、下痢、嘔吐に対する治療が必要となります。
3.
咳に伴う腹痛:ひどい咳の時、お腹まで痛くなることがあります。
4.
反復性臍せん痛:幼児、低学年の学童が訴える反復性の腹痛です。この腹痛は、短時間で消失しますが、数ヶ月〜数年間くり返すことがあります。他に、症状がなく、食欲もあり、体重増加も順調であれば心配ありません。
1.
虫垂炎:3大症状は、腹痛、発熱、嘔吐です。小児の虫垂炎は、腹膜炎になりやすく、早期に診断してあげることが必要です。
2.
腸重積症:2歳以下に多く、激しく泣き出し、嘔吐を伴います。腹痛は、一定の時間をおいて泣くことを繰り返し、非常に機嫌が悪く、ぐったりとします。大量の血便が出た場合は、本症が疑われますので、大至急に病院を受診してください。
★
お母さんは、「いつもの泣き方」と違うと訴えて受診することがあります。
1. 小児の3%は、熱性痙攣を起こします。
2. 初発は、生後6ヶ月〜3歳までが多く、38度以上の熱が上がる時に起こします。
3. 痙攣は、左右対称で、10分以内(多くは数分以内)に止まることが多い。
4. 熱性けいれん後のてんかん発症率は2.0〜7.5%で一般人口に比し高い。
*ただし、熱性けいれんを頻回に反復する結果として、てんかんに進展・移行するのではなく、 熱性けいれんの再発予防は、てんかん発症を予防するものではない。
単純型熱性けいれんと複雑型熱性けいれん
熱性けいれんのうち, 以下の3項目の1つ以上をもつものを複雑型熱性けいれんとし、どれにも該当しないものを単純型熱性けいれんとする。
@ 焦点性発作(部分発作)の要素
A 15分以上持続する発作
B 1回の発熱の経過内(通常は24時間以内)の複数回反復する発作
痙攣を起こしたときの対応
1. 痙攣が、どのくらい続いているかを知るため、痙攣の始まった時間を知っておきましょう。
2. 周囲の危険物を除き、衣類をゆるめ、呼吸をしやすくしてあげましょう。
3. 患児を横向きにし、吐いたものは、できるだけ口の中から取ってあげましょう。
*舌を咬まない様に、口をこじあけ、ものをさしこむことは、しないでください。
4. 痙攣の状態をよく見ましょう。 痙攣の部位、左右差、目はどちらをむいているか
5. 痙攣が止まり、熱があるときは、解熱薬を使用しましょう。
発熱時のダイアップ座薬による予防は以下の場合に使用する。
1)遷延性発作(持続時間 15分以上)
2)以下@〜Eの2つ以上を満たす熱性けいれんが2回以上反復
@ 焦点性発作または24時間内に反復する発作
A 熱性けいれん発現前より存在する神経学的異常, 発達遅滞
B 熱性けいれんまたはてんかんの家族歴
C 12ヵ月未満
D 発熱後, 1時間以内の発作
E 38℃未満での発作
以上は再発率が高くなるため、予防を行う。
ダイアップ座薬中止の目安:最終発作から1〜2年、もしくは年齢として 4〜5歳まで。
脳波検査
熱性けいれんに対して脳波検査を一般的に行う必要はない。
*とくに単純性熱性けいれんに 対しては勧められない。
*てんかん発症予測のための脳波検査は発作後、 少なくとも 7〜10日以後(できれば1ヵ月後)に行うのがよい。
予防接種
当日の体調に留意すれば必要であれば、すべての予防接種をすみやかに接種してよい。
*長くとも2〜3ヵ月程度に留めておく。
抗ヒスタミン剤(ザジテン、ポララミン、セルテクトなど)
熱性けいれんの既往のある小児(とくに3歳以下)に対しては, 発熱時における鎮静性抗ヒスタミン剤使用は熱性けいれんの持続時間を長くする可能性があり推奨されない。
ダイアップ坐剤(ジアゼパム)坐剤の使用法
1. 37.5oCを越す発熱時に速やかに坐剤を投与する。
2. 初回投与後8時間経過後もなお38 oC以上の発熱が持続する時は、追加投与してもよい。
* 通常、2 回投与で終了とする。
* 状況により、3 回目を投与してもよいが、3 回目は初回投与から24 時間経過後とする。
<注意事項>
1. 解熱剤の併用:ダイアップ坐剤と解熱剤の坐剤を併用する場合にはジアゼパム坐剤を投与後、30 分以上間隔をあける。経口投与をする解熱剤は同時に使用してもよい。
2. ねむけ、ふらつき、まれに興奮などがみられるので、完全に目が覚めるまで、事故に注意する。
3. 外来受診時に熱性けいれんが止まっている場合, 外来で一般的にダイアップ坐剤を入れる必要はない。
<心配のいらない痙攣>
泣き入りひきつけ(憤怒けいれん):生後3ヶ月以降にみられ、急に激しく泣いた時に、息もせず呼吸を止め、青くなり、次いで意識が無くなり、のけぞることがあります。
4−5歳までに特殊の治療をしなくとも、痙攣を起こさなくなります。
<気がつきにくい痙攣>
1. 点頭てんかん:生後4ヶ月頃から、頭を前に曲げ、「くせ」と思われるが、次第に頻回となり、腕を振り上げ、足を曲げる動作を何度も繰り返すようになります。
2. 小発作:3−15歳頃から、5−10秒間、意識がなくなり動作が止まったようにボーッとしているように見え、この時は呼んでも応答がみられません。
14〜21日
発疹が、顔から全身へと広がり、軽い咳、発熱を伴うことが多く、頚部および耳後のリンパ節が腫脹するのが特徴です。
脳炎、血小板減少、関節痛(大人)など
1.
意識がはっきりしなくなり、痙攣などがおきた時には、脳炎などを疑わなければなりません。
2.
手足に紫斑が出た時は、血小板減少が疑われます。
3.
女の子の場合、風疹の診断がはっきりしない場合は、抗体検査ではっきりさせておきましょう。
4.
お母さんが、風疹にかかっていなかったり、ワクチンを接種していなかったり、ワチチンを接種後長く経過している場合は、お母さんにも感染する可能性があります。お母さんが妊娠中の時(特に妊娠早期)は、胎児への影響(先天性風疹症候群)を考えなければなりませんので、医師にご相談ください。
5.
不顕性感染(感染しても症状を出さない人)は25%位います。
14〜21日
両側又は片側の耳下腺が腫脹し、ものを噛むときに顎に痛みを訴えることが多いです。このとき数日の発熱を伴うことが多いです。耳下腺腫脹は痛みを伴い、境界不鮮明な柔らかい腫脹が耳の下を中心として起こります。他の耳下腺の腫脹を同時または数日遅れてみることもあります。唾液腺炎は耳下腺両側が多いが、片側耳下腺は25%、顎下腺は10〜15%あります。
髄膜炎、脳炎、膵炎、難聴などがあり、その他成人男性には睾丸炎、成人女性には卵巣炎がみられることがある。
髄膜炎:耳下腺炎出現の前、最中、後のどの時期でも発症します。(発症3週まで)発熱、頭痛、嘔吐項部硬直などみられます。自然感染の3%に髄膜炎の臨床症状が起きます。
1.
強い頭痛、嘔吐、発熱がある時は、髄膜炎も疑われます。
2.
嘔吐、腹痛、発熱がある時は、膵炎も疑われます。
3.
流行性耳下腺炎を、何度も繰り返している場合には、反復性耳下腺炎も考えられますので、医師にご相談ください。
4.
耳下腺とリンパ節の腫脹の区別のため、尿や血液のアミラーゼを検査することがあります。
耳下腺の腫脹が、わからなくなったら、行かせて良いでしょう。
生後6ヶ月位から1歳半に多く、突然に高い熱が3〜5日続いた後に、熱が下がり、その頃から全身に発疹が出現します。発疹は3日ほどで、痕を残さないで消えていきます。
1.
「生まれて始めて熱を出した」という様な時に、この病気であることが多くあります。
2.
熱だけで、他の症状がなく、診察しても異常は見つからず、高い熱の割には元気(食欲もあり、機嫌も良い)であることが多い病気です。
3.
発熱初期に熱性けいれんを起こしたり、まれに脳炎・肝炎を合併することが知られていますが、ほとんどないと考えていてもよいです。
4.
多少、便が軟らかくなることがあります。
5.
熱が下がり発疹が出て、この病気であることが、はっきりするまでは、他の病気も考えなければならず、安心できません。
6.
発疹が出た後も熱が続いたり、ひきつけたり、ぐったりしているなど変化があったときは早めに受診しましょう。
7.
稀に、2度この病気にかかることがあります。
8.
他の子供に接触しても、うつす心配はありません。
9.
入浴は、熱が下がり、発疹も薄くなってきたら良いでしょう。
2〜4日
乳幼児に多く、初夏から秋にかけて多いので「夏かぜ」といわれている。突然の38〜40度の発熱が1〜4日間続く。咳などの症状は少ない。
口蓋から口蓋帆にかけて1〜5mmの小水疱、小潰瘍、その周辺に発赤が認められる。のどが痛いため、しみる物はとれなくなる。よだれも多くなる。
全経過は7〜10日以内で完治する。
★
何種類ものウイルスで起きる病気のため、何度もかかる可能性がある。
特別な薬はなく、脱水にならない限り、入院にはならないので、水分を十分与えましょう。
5〜6日
主として乳幼児にみられる手、足、下肢、口腔内、口唇に小水疱が生ずる。
典型的なものでは、軽い発熱、食欲不振、のどの痛みなどで始まり、手(指間部、手掌、手背)、足(趾間部、足背、足底)に小水疱が出現する。口の中を注意して見ると、舌や口腔粘膜に浅いアフタがある。皮疹は1週間から10日で自然消退する。
★
何種類ものウイルスで起きる病気のため、何度もかかる可能性がある。
口の中が痛い時は、しみないものをあげてください。熱いものや味のきついもの(特に酸味・塩味の強いもの)はさけてください。患者も周囲の人も、十分な手洗いを心がけましょう。治った後も2〜4週間程度、ウイルスが便に出ていることがあります。特に、おしめを替えた後や鼻をかんだ後などには、よく手を洗いましょう。
ごくまれにエンテロウイルス71型による肺水腫を伴った重症脳幹脳炎が生じることがあるので、持続する発熱や嘔吐、頭痛などある場合は受診しましょう。
元気で一般状態が良ければ、幼稚園・学校に行ってもかまいませんが、口の中を痛がる間は、お家で見てあげてください。
5〜7日
発熱(4〜7日)、咽頭炎(咽頭発赤、咽頭痛)、結膜炎が3主症状です。アデノウイルス3型が主であるが、他に4、7、11型なども本症を起こす。発生は年間を通じてみられるが、さまざまの規模の流行発生をみる。とくに夏季、プールを介して流行的発生をみるので、「プール熱」の病名がある。
1.
高熱の割には、熱が下がると元気になります。
2.
ただし、熱が長期間続くので、脱水には注意が必要です。
3.
伝染力が強いので、患者とタオルを共用しないようにしましょう。
4.
迅速診断キットがあり、検査すると、この病気であることがわかります。
5.
流行時期は、プ−ルの後、流水で手よく洗いましょう。手を洗ってからうがいをすることも、予防になります。プ−ルでは、できるだけ目をこすらないようにしましょう。
症状が消失し、2日を経過してから行かせましょう。
17〜25日
乳幼児から小児に多いが、乳児、成人がかかることもある。
顔面、特に頬部に境界鮮明な紅斑が突然出現し、鼻背で融合して蝶型の紅斑になる(りんご病)。続いて四肢に対側性に小紅斑が出現し、環状又は融合して地図状、網目状(レース状紅疹)になる。無熱、微熱が多い。大人では関節痛を伴うことがある。
予後は通常、良好で、全経過は、通常3週間以内に治癒する。
1.
溶血性貧血患者が、この病気にかかった時、急激に貧血なる可能性がある。
2.
妊婦さんが、この病気にかかった時、胎児に影響(胎児水腫)を及ぼすことがある。
3.
お風呂の長湯、運動による体温上昇、日光に長くあたると、赤みが強くなることがあります。
一般状態が良ければ行かせても良いでしょう。
顔の骨の中にあり鼻の中につながっている空洞で、上顎洞、前頭洞、篩骨洞、蝶形骨洞があります。この空洞に炎症があれば、副鼻腔炎といいます。小児で副鼻腔炎と言えば、約90%は上顎洞の炎症です。
乳幼児では上顎洞と鼻は、大人と異なり、太く交通しています。そのため、乳幼児ではウイルスによる鼻炎、鼻かぜでも、副鼻腔の炎症を一緒に起こすものです。これが、急性の副鼻腔炎です。すなわち、乳幼児は太い交通のため副鼻腔炎になりやすいが、逆に治りやすいのが特徴です。
口をあけていることが多い(鼻閉)
副鼻腔炎の原因には、ウイルスと細菌があり、細菌が原因の副鼻腔炎が問題であり、抗生物質による治療が必要になります。その細菌には、肺炎球菌、インフルエンザ菌などがあり、抗生物質に対し耐性を示す菌が増加し問題となっています。また、ウイルスが原因の副鼻腔炎に、抗生物質は全く効きません。
急性副鼻腔炎:症状が30日以内のもの。これを最近の耳鼻科領域では蓄膿という傾向が多い。
慢性副鼻腔炎:症状が90日以上持続するもの。これが、いわゆる成人でいう蓄膿です。
親がびっくりされることが多いようですが、この蓄膿は成人でいう蓄膿とは全く異なります。
★真の蓄膿とは、細菌が原因でおきる90日以上持続する慢性の副鼻腔炎です。
子供は年に6〜8回、ウイルスによる鼻炎、鼻かぜをひき、その大部分は副鼻腔炎を一緒に起こします。その25%の児は2週間以上、副鼻腔炎の症状が続きます。
ウイルスによる鼻炎、鼻かぜでも、数日間は鼻水ですが、次第に黄色〜黄緑色の粘っこい鼻汁となります。粘調の黄色い鼻水は細菌感染を示すものではなく、鼻の粘膜上皮や白血球の死骸ですので、粘調の黄色い鼻水があるからといって、細菌が原因によるとは言えません。この場合、抗生物質を使用しなくとも自然に治癒します。
10日以上、副鼻腔炎の症状が続く時、細菌が原因の副鼻腔炎を疑う一つの指標とされていますが、約60%は細菌が原因による副鼻腔炎で、約40%はウイルスによるものです。10日以上症状が続くからといって、細菌が原因による副鼻腔炎ということで抗生物質を投与するものではありません。
乳幼児の場合、慢性の副鼻腔炎より、何度も急性の副鼻腔炎を繰り返して児が多いと言えます。
http://www.touei.or.jp/kaze_fukubikuen_chikunou.pdf
1年に100〜300人の子供がインフルエンザ脳炎・脳症にかかります。(主に6歳以下の子供、特に1歳をピークとして、乳幼期にもっとも多い)発熱から、数時間〜2日と神経症状が出るまでの期間は短く、主にけいれん・意味不明な言動・急速に進行する意識障害が症状の中心です。死亡率は約30%であり、後遺症は約25%にみられる、恐ろしい病気です。
よく見られる症状は、けいれん、意識障害、異常行動などです。発熱に続いて、けいれん、意識障害、異常行動が起きたときは脳症の始まりの可能性があります。
★
脳炎・脳症による「けいれん」は「熱性けいれん」と見分けにくく、けいれんの時間が5分以上で、けいれんの後に意識が戻らない場合は要注意です。寝ているのか、意識が無いのか解らない時は、つねるなど刺激を与え、意識があるかを確認しても良いです。
★
脳炎・脳症でなくとも高熱のために異常行動を起こすことも子供がいます。この状態を「熱せんもう」といいますが、異常行動が長く続くときやけいれんを伴うときは要注意です。
幻視、幻覚、恐怖感の訴え、怒り、おびえ、感情失禁などがみられた時は要注意です。インフルエンザ脳症・脳症は急激に発症し、残念ながら医師も発症を予測することが困難な場合が多くあります。子供が熱を出し、いつもと違うと感じる前駆症状が見られたら、すぐに病院を受診することが大切です。
ジクロフェナクナトリウム(商品名:ボルタレンなど)を投与することによって、インフルエンザ脳炎・脳症が起きるわけではありませんが、脳炎・脳症の重症化に関与している可能性があり、予後が悪化するおそれがあるといわれています。インフルエンザにおいて解熱剤を使用する時は、アセトアミノフェン(商品名アセトアミノフェン、カロナール、アンヒバ、アルピニー)、イブプロフェン(商品名ブルフェン、ユニプロン)が望ましいとされています。
予防接種でインフルエンザ脳炎・脳症を防ぐことができるか、まだ結論がでていません。しかし、インフルエンザにかかってしまったら、脳炎・脳症を起こすのを食い止める方法はありません。したがって、現在、インフルエンザにかからないようにワクチンを受けることが唯一の予防法です。但し、1歳以下の乳児へのワクチンの有効性を認めないという日本小児科学会の報告から、今シーズンは1歳以下の乳児へのインフルエンザワクチンの接種を東栄病院においては見合わせました。
ワクチンの有効率は6歳以下では20-30%、成人では70-80%しかありません。
迅速診断キットにより数10分で結果がでます。但し、発熱後、直ぐ検査(12時間以内)を行ってもインフルエンザのウイルスの量が少ないため陰性にでることがあります。
発症48時間以内に、抗ウイルス剤を投与しないと効果はありません。インフルエンザにかかってしまったら、抗ウイルス剤でインフルエンザ脳炎・脳症の発症を防げるか結論が出ていませんが、防ぐことはできない可能性が高いと考えられます。インフルエンザに罹患した全ての人が抗ウイルス剤を服用しなければならないものではありません。一般的に2次感染を疑う時以外は、抗生物質は使用しません。
インフルエンザの薬であるタミフルはメーカーが行った動物実験で、幼弱なラットに対して通常量の500倍を投与したときに死亡率が高かったという結果から、生後1歳までは使用しないようにとの情報がメーカーから出されました。この点については、厚生労働省は、メーカーからの情報をもって、乳児へ禁忌だとする根拠にはならないと述べています。また、2004年の日本小児科学会の中間報告ではありますが、タミフルを乳児に通常量使用することは、とくに問題はないと報告されました。以上から、東栄病院においても、ご両親とご相談の上、使用の場合は慎重に使用していきたいと考えております。
解熱後2 日を経過するまで出席停止となります。
1) 抗ウイルス剤(5日間投与)の場合:平均的には有熱期間3日+無熱期間2日=5日
2) 抗ウイルス剤未使用の場合:平均的には有熱期間5日+無熱期間2日=7日
★ 無熱日とは24時間発熱のない(37度以下)日のことです。
注意:長期間、発熱が続くので、水分を十分取りましょう。
1. 主として1〜2歳の乳幼児に起こる喘息の様な症状を示す気管支炎の一種です。普通の気管支炎と異なり、呼吸困難を起こすことがあること、風邪をひくと治りにくく、繰り返しやすいことが特徴です。3歳くらいで大多数は治癒しますが、10%くらいは気管支喘息に移行します。
2. 風邪の原因のウイルス (RSウイルス、ヒト・メタニューモウイルスなど) や細菌の感染が原因で起こります。気管支喘息と異なりアレルギーの関与は少ないと考えられます。
3. 乳幼児期は気管支が細いため、粘膜がむくみ、分泌物が溜まるので気管支が狭くなります。そのために息を吐くときにその細い部分を通って空気を送り出すことによって、ゼーゼーやヒューヒューという音が聞こえます。この音が気管支喘息の時に出る音と同じため、この名前が付けられていますが、気管支喘息とは異なるものです。
1. 鼻水、咳、発熱など風邪の症状があり、咳がひどくなります。痰が絡み、せき込むようになります。息を吐くときに出るゼーゼー、ヒューヒューが聞こえます。
2. 気管支が細くなっている場所により、音が違います。
@ 太い気管支から出る音はゼーゼー:音が良く聞こえますが、呼吸困難になることは少ない。
A 細い気管支から出る音はヒューヒュー:聴診でしか聞こえないこともあり、呼吸困難が強くでる可能性があるので注意が必要です。
3. ゼーゼー、ヒューヒューの区別は難しいので、このような音が聞こえた時は、早めに受診しましょう。
将来、気管支喘息になるか予測する明確な方法はないため経過をみるしかありません。
しかし、以下の時は気管支喘息に移行する可能性が高いと言えます。
@ 3歳以上
A 頻回に、呼吸困難を繰り返す
B 吸入に良く反応する
C アトピー性皮膚炎などのアトピー素因(アレルギー)がある
D 家族や親族に気管支喘息の人がいる。
気管支喘息は、気管支が刺激に対して過敏になり収縮し、空気の通り道が狭くなり笛のようにヒューヒューした音をたて呼吸困難となることがあります。長期間続くと、慢性的な炎症により更に気道が狭くなっていきます。治療も重要ですが、発作を予防することが更に重要です。多くはアトピー素因(アレルギー)を持っている場合に起こり、風邪をひいていなくとも起こします。
1. ヒューヒュー、ゼーゼーと笛が鳴るような呼吸音(喘鳴)が特徴であり、喘鳴が発作性に生じ、呼吸困難などを繰り返す病気です。
2. 最近の研究では、気管支喘息は気管支の慢性の炎症と考えられ、非発作時にもこの炎症が続いていると考えられています。そのため気管支は常に過敏な状態(気道過敏性)にあり,発作の時には気管支の平滑筋が収縮して気道が狭くなり,さらに粘膜のむくみや痰の増加も加わって呼吸困難となります。
最初は喘鳴があまり聞かれず、気管支喘息だと気づきにくいことがあります。
@頻回に風邪をひく A風邪をひくと治るのに時間があかる
B風邪もひいていないのに咳が夜間や明け方にひどい C運動をすると喘鳴や咳がでて苦しくなる。
以上のときは、気管支喘息を疑う必要もあります。
1. 小児の気管支喘息は<2歳までに約60%(発症年齢のピークは1〜2歳)、小学校入学前までに90%以上が発症します。
2. 小児の5%が気管支喘息で日本に約150万人の小児の喘息患者がいると言われています。
1. 大人になるまでに症状を起さなくなる寛解率は60〜70%程度で、成人まで持ち越す例が30%程度あります。成人まで持ち越す例は、小児期の気管支喘息の重症度と密接に関係しています(軽症者の寛解率は83%、中等症では70%、重症では32%)。いったん治ったと思った人でも成人になって再発をすることがあります。
2. 成人の気管支喘息の15%位は小児期に発症の気管支喘息です。
1. 小児の気管支喘息の90%以上がアトピー型で、アレルギーを起す物質(アレルゲン)に対する特異的IgE抗体が血清中に存在します。このようなIgE抗体を作る体質を<アトピー体質と言い、遺伝します。残りがIgE抗体と関係のない非アトピー型です。
2. アレルゲンで一番多いのは、家のほこり(ハウスダスト)で、その主な成分はダニです。
喘息発作の原因はアレルギーだけでなく、かぜ(RSウイルス、ヒト・メタニューモウイルス感染),たばこの煙、蚊取り線香、花火、空気汚染(二酸化窒素と二酸化硫黄),季節の変わり目(春、秋)、気象の変化<(台風、低気圧や寒冷前線などの接近時),ストレスなど、様々なものが発作の誘因となります。
発作の程度を知り対応することが重要です。
1. 軽い発作:喘鳴が少し聞こえるが、夜間も良く眠れ、普通の生活ができる。
軽い陥没呼吸(肋骨の間の軽い陥没、肋骨の下がへこむ)
(対応) 薬を持っている人は薬を服用し、増悪傾向がなければ様子を見ても良い。
薬を持っていない人は、病院を受診しましょう。
2. 中位の発作:喘鳴がはっきり聞こえ、良く眠れなく、食欲もなくなり、元気がなくなる。
明らかな喘鳴と陥没呼吸を認める。
(対応) 薬を持っていても病院を受診しましょう。
3. 重い発作:日常生活、睡眠などがほとんどできない。
著明な喘鳴と陥没呼吸を認め、他に以下の症状がある。
@肩を呼吸に合わせて上下する(肩呼吸)A鼻翼がぴくぴく動く(鼻翼呼吸)
B息をはく時にうめき声をあげる(呻吟)C横になれず、座り込んでしまう(起座呼吸)D唇が青白くなる(チアノーゼ)
(対応) 入院が必要になることが多く、至急、病院を受診しましょう。
1. 気管支喘息の治療は,発作が起きてから抑える「発作時の治療」だけでなく、慢性の炎症を抑え発作を起こしにくくする「予防的治療」がより重要です。
2. 治療は、患児の気管支喘息の発作の程度、発作の頻度、年齢などにより異なります。
1) 発作時の治療: 発作時は早めに対処し、発作を止める
@気管支拡張剤(β刺激剤):ホクナリン、メプチン、ベネトリンなど
Aアミノフィリン・テオフィリン製剤:テオドール、ネオフィリン、など
Aは副作用の点から、最近は使用しない傾向にある。
2) 予防的治療:発作を予防することが発作時の治療より重要
気管支喘息の本態は、慢性の炎症ですので、放置すると気管支壁が、厚く、かたくなり、気道が閉塞したままもとに戻らなくなります。この慢性の炎症を抑えることが発作を予防することに重要です。発作をくり返し、その度に発作を止める治療だけでは気管支喘息は良くなりません。発作のない良い状態を長く維持(6ヶ月〜数年)していくことが必要です。
@ ロイコトリエン受容体拮抗薬:オノン、シングレア、キプレスなど
A 吸入ステロイド剤:パルミコート、フルタイドなど
B 抗アレルギー剤:インタール吸入など
<@ Bは発作時の治療薬としても使用します。
アトピー性皮膚炎=痒みを伴う湿疹が慢性に経過する疾患で、多くはアトピー素因を持つ
アトピー素因とは:(1)家族歴、既往歴(気管支喘息、アレルギー性鼻炎、結膜炎、アトピー性皮膚炎のうちのいずれか、あるいは複数の疾患)、または(2)IgE抗体を産生し易い素因のことです。
1. 痒みがある
1) 乳児
@ 顔面皮膚または頭部皮膚を中心に赤くなり(紅斑)、湿潤したジクジクしたぶつぶつ(丘疹、漿液性丘疹)がある。耳切れが見られることが多い。
A 掻き傷がある。
2) 幼児・学童
@
頸部皮膚または腋窩、肘窩もしくは膝窩の皮膚を中心とした紅斑、丘疹または皮膚が厚く硬くなり(苔癬化)、硬いしこり(痒疹)がある。耳切れが見られることが多い。
A
体の皮膚が乾燥しザラザラしてくる。
B
掻き傷がある。
3. 慢性に経過する疾患
乳児では2ヵ月以上、その他では6ヵ月以上継続するものをいいます。
★湿疹の出始めは、アトピー性皮膚炎の診断は難しく、乳児湿疹と鑑別できないこともあります。
1. アレルギーの原因となるアレルゲンについては年齢により違いがあり、乳幼児では食物アレルゲン(牛乳、卵、大豆、そば、小麦粉)、それ以降では環境アレルゲン(ダニ、ハウスダスト、花粉、真菌など)が主に関係することが多いです。
2. アレルゲン検査は、血液検査で可能です。しかし、血液検査は必ずしも症状と一致しないケースがあるので、これだけでは診断できません。
3. 乳幼児期は、身体、脳の発育に重要な時期です。皮膚だけに目をうばわれることなく、食事制限を行う場合は、栄養面でのバランスが失われないように、症状の程度を考慮し、常識的な食事制限を行うことが望ましいと考えます。 2〜3歳頃には良くなることが多いので、いつまでも食物除去を続けることは必要がないことがあります。
★最近、アトピー性皮膚炎はアレルギー反応だけでなく、皮膚のバリアー機能の障害が関与しているといわれています。
一般的には、生後1〜6ヶ月から発症する児が多く、1〜6歳の乳幼児の10〜30%、成人では2%がアトピー性皮膚炎です。思春期になると90%は治ります。しかし、体質改善をしない限りアレルギー体質は治っていないのでアレルギー性鼻炎、結膜炎、気管支喘息などのアレルギー症状が現れることがあります。ですから、アトピー性皮膚炎の治療のゴールは"治癒"ではなく"症状を抑えること"を目指すことになります。
1. スキンケア
(1) 汗や汚れは速やかにおとす
(2) 強くこすらない
(3) 刺激の弱い石鹸、シャンプーを使用し、十分にすすぐ
(4) 痒みを生じるほどの高い温度の湯を避ける
(5) 入浴後にほてりを感じるような沐浴剤、入浴剤を避ける
(6) 入浴後に適切な保湿剤を使用する。
★
保湿剤:保湿剤は皮膚に赤みがなくとも、使用すべきです。
(例) 白色ワセリン、ウレパール、ヒルドイド
★
爪を短く切り、掻かないようにする。
2. ステロイド軟膏
ステロイドの軟膏はアトピーの皮膚症状を改善しますが、アトピー性皮膚炎そのものを治すのではなく、あくまでも対症療法です。
1) ステロイドの軟膏には、色々の強さの軟膏があります(例)(弱い:キンダーベート、ロコイド、普通:リンデロンV,
VG、プロパデルム、強い:マイザー、ネリゾナ)。十分な効果を発揮できる強さで、できるだけ弱いものを、短期間使用するのが原則です。そのため、十分な効果が認められた場合には、より弱い治療に変更し、逆に十分な効果が認められない場合には、より強い治療に変更します。良くなったら、非ステロイド軟膏、保湿剤などに変更します。
2) ステロイド軟膏を顔面に使用する場合は、可能な限り弱いものを短期間(1日2回の外用は1週間程度)にとどめるようにします。
3) ステロイド軟膏の副作用
副作用のほとんどは局所的なもので、医師の指示通りの薬を塗っている限り、全身的な副作用を起こすことは無いでしょう。
@
局所的な副作用はステロイド長期連用による皮膚の変化です。皮膚の毛細血管が拡張して赤く見えたり、皮膚が薄く萎縮したり、また色素沈着と呼ぶ黒ずんだ皮膚になることがあります。顔で、このような副作用が見られることが多いため、顔にはなるべく使用しないようにする。ステロイド軟膏を止めることにより、徐々に正常の皮膚に戻ります。
A
細菌や真菌の感染症の増悪
B
軟膏そのものによる接触性皮膚炎
<軟膏の塗り方>
軟膏を塗る時は、少量を使用し、湿疹部分にすりこまないで表面に軽く塗ります。塗る回数は1日に2〜3回で、朝、(昼食後)、お風呂上りに塗りましょう。
3. 抗ヒスタミン薬、抗アレルギー薬
必要に応じて、痒さを和らげるために、抗アレルギー薬(セルテクト、ザジテンなど)及び抗ヒスタミン薬(アタラックスPなど)の内服薬が使われます。ステロイド軟膏と比べればあくまでも補助的なものです。副作用としては、眠気、だるさなどです。
潜伏期間(感染から症状がでるまでの期間):2〜3日
感染性期間(人にうつす期間):無治療では一定しません。多くは治療開始後24時間で感染力が無くなりますが、健康な保菌者も多く存在します。
発熱、咽頭痛、咽頭発赤、時に嘔吐を伴います。
発疹が全身に出現することがあります。これを「猩紅熱」といいます。2週間後に、手や指先の皮がむけてくることがありますが、心配ありません。発疹がでる溶連菌感染症が、重症というわけではありません。
咳、鼻水は、溶連菌感染症の症状ではありません。
急性糸球体腎炎(<1〜3週後)、リウマチ熱(1〜4週後)
1. 抗生物質をのんでから、多くは24時間以内に発熱はなくなります。24時間以上、熱が続く場合は受診してください。症状がなくなっても、合併症予防のため10日間、抗生物質をのむ必要があります。最近、抗生物質を5日間投与での有効性が報告されています。
2.発疹が出るようでしたら、薬疹の可能性もあるので受診してください。
3.同居の子供さんに予防的に抗生物質をのますべきではありません。症状がでたら病院を受診してください。
4.溶連菌感染症の咽頭炎は、抗生物質をのむと1日で良くなる恐ろしい病気ではありません。恐ろしいのは、合併症であるリウマチ熱です。それを予防するために症状がなくなっても抗生物質を10日間、のむ必要があります。リウマチ熱は現在非常に稀です。特に1〜2歳では、リウマチ熱の心配はいりません。
5.尿検査: 10日間薬を飲み終わってから約1週間後(診断後2〜3週間後)に、急性糸球体腎炎が起きてないか尿の検査をしておりますが、必ずしも必要ではありません。その場合、尿が赤くなるようでしたら、病院を受診して検査を受けましょう。
6.この病気に、何度もかかることがあります。
7.健康な4〜7歳の小児の5〜10%の喉に溶連菌が存在します。健康保菌者と言います。ですから、いつでもどこにでも溶連菌はいるので、いつでも感染する可能性があります。「はしか」、「水ぼうそう」などとは全く異なります。過剰に恐れないでください。
抗生剤治療開始後24時間を経て解熱して、全身状態がよければ登校可能。
長くても初診日と翌日の出席を停止にすればよい。
http://www.touei.or.jp/medknowledge_streptoinfec.htm
http://www.touei.or.jp/medknowledge_yourenkin.htm
http://www.touei.or.jp/nikkei_medical(2008Apr).pdf